銀座『かねさか』/ミシュランの理由?/嗅覚の鋭い穏やかな鮨通や富裕層が集う店
年始めは静かにスタートしたいので、お鮨は銀座『かねさか本店』で金坂氏の握りを頂く流れが気に入っています。
"かねさか"と名がつくグループの他の支店には一周はしてますが、2周目で伺うことはないですね。
本店の金坂氏とは握りのレベルが全然違うからです。
2020年にリニューアルした今の内装も座席数が8席に絞られて、派手さや華やかさはありませんが、茶室のような通好みの内装も結構気に入っています。
土壁などを拝見する限り、きっと昔ながらの技法をめちゃくちゃお金かけて復活させているんでしょうね。あれ何ていうんでしたっけ?中の土台を竹で組んでそこに土壁を塗り込んでいく"竹小舞土壁"だったような?
あ、普通はこういうの気にならないか(´-`).。oO
今はこういう考え方/お金の使い方をされる方減りましたが、こういうオーダーは実は新しい職人へ昔の技術を継承するためにもとても大切なんですよね。
檜のカウンターは杢目から見るに250~350年前後。
石や木、地質や杢目を眺めて当時の時代へ想いを馳せれるようになったらあなたも立派なオトナです。ウイスキーやワインが好きな方々も皆通る道です。
これ、もったいない、無垢にしたら良いのになー。
もしこの理由が檜の香りを抑えるためでしたら本末転倒ですしねー。
西暦2000年、生命保険会社や銀行などが自己資本比率を高めるために保有していた大きな含み損を抱えた不動産や株式を投げ売りせざるをえなかったあの頃、日経平均が7000円台へ直滑降して日本が滅ぶのでは?とまことしやかに囁かれ、国立Topの大学卒女性でも就職先がなかったあの頃、銀座の鮨職人や鮨通達の間で激震が走りました。
「この超不景気の中、銀座に弱冠28歳で独立した鮨職人がいる!?」
「銀座『久兵衛』 の今田壽治レベルじゃないか?。」
「いきなりミシュランとかいう星を2つ獲ったらしいぞ?」
ってな感じです。
当時私は学生でしたが、私より上の大人達がそんなこと話してました。
当時はほんと特に金融機関の景気が悪かったので個人事業主の鮨職人が今みたいにすぐに数千万円お金借りれるなんてあり得ないことだったんです。。
それ以降、ずっと銀座にお店を構え、かねさかグループとして国内外に多くの支店を持ち、多くの有名鮨職人を輩出。
二流はお金を遺し、一流は人を遺すとはよくいったものです。
えーっ?
銀座『次郎』銀座『よしたけ』新橋『しみづ』の私のレビューのほうが銀座『さわ田』よりも面白くて完成度高くないですか?
おかしいなー、個人的には特に銀座『よしたけ』のあの山葵の箇所なんてどんなグルメンも言及してこなかったですし、どんなグルメ本にも書かれていない着眼点なので、秀逸だと思うんですけどー。
予想外に私のレビューの中で断トツ人気を誇る鮨『さわ田』でも色々申し上げましたが、金坂氏は銀座『久兵衛』の頃から別次元だったらしいです。
この金坂氏も今や50歳程。
お鮨の世界をどの世代で区切るかというのは色々な意見があるとして、ようは金坂氏は当時からずっと銀座鮨のトップランナーなわけです。20代30代半ばに稼いでいる男性達に沢山訪れる甘い誘惑の時期をくぐり抜けて、今も御本人が第一線でご活躍。
着実に店内に増えていく魯山人の最上位ばかりの真作。
いいでよねぇ、魯山人も。
フォロワーの皆様ご存知の京都現代美術館/何必館では地下で魯山人の素晴らしい作品の数々が常設展示されていることで有名ですが、3-4年前からガラスケース内作品以外も近寄れなくなりました。
実はスミマセン、あれは私の責任です。
公私共に定期的に京都に行くことの多い私は1人になりたいときに必ず何必館に寄って、最上階のソファーで木を見ながらボーッとすることが多いのですが、その前後で必ず地下に降りて誰もいないときを見計らって、魯山人の各作品を一生の借金を背負う覚悟で触ったり持ち上げたりしてたんですよね。
ご存知ないでしょう?
そもそも楽焼とはそういうものとはいえ、直径40cmの楽焼「つばき鉢」なんて超軽いんです。
当時の私はどうしても、どうしても自分の眼だけでなく、手にも魯山人を覚えさせたくて、数千万円億単位の借金を背負う覚悟で、捕まる覚悟で自分の身体に覚えさせてました。本物の審美眼を身に付けたくて、、、( ´Д`)
数年繰り返してましたが、監視カメラで見つかったのでしょう、もうそういうことが無理になりました。
ま、そりゃそうですよね。
何必館・京都現代美術館館長の梶川様、魯山人好きの皆様、誠に申し訳ありません!!!
話を戻します。
客層が良く、器も良く、接客も良く、何よりも金坂氏の洗練された所作とこれぞ王道という江戸前の握り鮨。
にも関わらず、銀座『かねさか』はずっとミシュラン2つ星なのに、食べログポイントは低めじゃないですか?
皆さんは何故だと思いますか?
すごく簡単にいうと、銀座『かねさか』は大衆ウケ/女性ウケ/外国人ウケしないってことなんです。
グループの他のお店はそんなことないんですけどね。
逆にそれでもこれだけグループを大きくされて、この星をずーっと維持しているのはすごいともいえます。
ワインとのマリアージュなくしてミシュラン三つ星を江戸前鮨屋に与えるのはミシュランスタッフ達には無理でしょう。
大体他国の料理をあーだこーだ断じる前に、自分達の国の料理(フランスのフレンチという意味)の衰退をどうにかしてはいかが?といいたい。
いや、ほんと。
実は金坂氏のこの握り鮨だけで成立させる完全なる調和は、その " 握りの力量 "だけ見たら、ミシュラン三つ星レベルで銀座『よしたけ』以上なんですよね。
銀座『よしたけ』の凄さは、ワインとのマリアージュ絡ませた総合力であって、ソムリエお任せのワインをby the glassで合わせないと理解できるはずがないからです。
「いや、私は単純に握り鮨として銀座『よしたけ』の握り鮨が一番美味しいと思う!」
いや×2、あそこの握り鮨はそういう設計じゃないですから。
絶対無理。
絶対ウソ。
「いや、私は単純に握り鮨として銀座『さわ田』の握り鮨が一番美味しいと思う!」
いや×2、それは澤田親方の人間力/内装に見事にやられているだけ。
絶対勘違い。
それは、ご自身の眼や耳の情報/好みと混同していると思います。
目を瞑って、握り鮨だけを頂いて判断したら、酢飯(シャリ)の好みはさておき、その握り鮨のバランス/調和だけでみたら、私の舌は銀座『かねさか』と新橋『しみづ』を選ぶでしょう。
何度ブラインドで試しても、です。
もちろん、2022年時点でのお話です!
次が金坂氏のお弟子さんの1人、銀座『いわ』の岩氏ですね。
岩さん、お元気かなー?
岩さんは別のお店で今回のコロナ禍で失敗してしまっただけで、握りの技術だけでみたらガチの天才ですからねー。本当に漫画の世界みたいに3手とかでお鮨を握ってしまいますから。
ま、握り鮨だけで判断しない/判断できないところが、近年のミシュラン星であり、我々人間なんですけど。
銀座『かねさか』はずっとミシュラン2つ星なのに、食べログポイントは低めな理由、私はその理由が3点あると思ってます。
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1. 一見、握り鮨にも内装にも判り易い特徴がない
2. 判り易く派手なパフォーマンスがない
3. 椅子に対して座席が3-5cm高いので小柄な方に合わない、カウンターの素晴らしい檜板が無垢ではない
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という感じです。
「1.」に関しては、酢飯(シャリ)は銀座『さわ田』あたりと同じく米酢、そして控えめな酸。
ただ、目的が違います。
銀座『さわ田』の御主人は美味しい酢は本当は米酢でしょ!という考えの元に米酢を選ばれてますが、金坂氏の場合は異なります。
金坂氏の握り鮨は2つのキーワードで構成されているんです。
それは『調和』と『香り』。
あの手の中であらゆる角度から同時に均一に加えられる柔らかい力。手数よりもあの全方向からヒヨコを持つような、赤子に触れるような力で同時に全角度から均一に加えられる握り。来店者達はつい、彼の手元に惹き込まれながら会話することを余儀なくされます。
各お店によって色々な魅せ方があるんですけどね。
そして各席の魯山人の器まで、無駄な体温で暖まらないように手のひらでも点レベルのみの接点で握り鮨を来店者の魯山人の焼物へ運びます。
天然の魚を昔から慣れ親しんだ方には通じると思うのですが、天然の魚と養殖の魚の圧倒的な違いは脂のノリなどではなく、「香り」なんです。
近年はハーブを食べさせた養殖物なども出回ってきてますが、とはいえどんな魚だろうと天然の魚達だけがもつ、爽やか鮮烈なあの「香り」、あの「香り」を自分の握り鮨に閉じ込めてお客様方へ届けるには赤酢では強過ぎて邪魔してしまう、だからこそ金坂氏はこの酢飯(シャリ)をこのバランス/温度/湿度で握るわけです。
氏が赤酢を使うとしたら、真冬の小肌(コハダ)あたりを締めるときや大トロなどを握るときの酢飯(シャリ)くらいではないでしょうか?
ちなみに金坂氏は鮨ネタによっては当然として、来店者達がどのように口の中に自分の握り鮨を入れるのか、箸か素手か?鮨ネタを上にしたままか下向きにして入れるのか?などもしっかり見た上で微妙に変えているのが見て取れます。
昔から酢飯(シャリ)の重要性を説きながら、その上で鮨ネタ:酢飯(シャリ)を6: 4〜5.5: 4.5位の強弱にして鮨ネタを僅かに引き立たせた上での完全調和の握り鮨。
私が特に好きな銀座『次郎』新橋『しみづ』あたりは目的は同じながら、この比率が逆。
このレベルになると「好み」ですね。
超一流料理人の方々のそれぞれの「正解」である「解釈」を堪能できる我々現代人はなんと幸福なのでしょうか?
「2.」に関しては、眼の前で炙ったり、大きなネタを付け台ギリギリに盛ったり、特別華やかな見た目にして、濃厚な味にして握ったりしないという意味です。店内も通好みの内装ですし、器だって、魯山人を深く知る人のみ感動しますが、そうでない方々にとっては素通りでしょう。自分の眼の前に魯山人のしかも最上位/上位クラスの100-150万円の焼物に自分の握り鮨が置かれようが、伝わらない人には伝わりません。
「3.」に関しては、素晴らしい檜のカウンターは確か無垢ではなかったはず。まさかウレタン?蜜蝋?これは何かちゃんとした理由があるのでしょうが、自宅の床も節無しの無垢材で統一するほど無垢好きの私として、とても惜しいと感じてます。
ただ、それ以上に惜しいを通り越して残念なのは、カウンターの高さと椅子の高さが合っていないことでしょう。カウンターに対して椅子が黄金比の高さになっていないので、3-5cmカウンターが高く感じてしまう点です。これは小柄な方や女性の方にとっては特に自分が拒絶されているかのように無意識のうちに感じてしまうはず。子供が玩具屋で愉しめるのは玩具があるからだけではなく、それが自分の眼の高さに合っているからなんですよね。それと同じ理屈です。
さらに写真や動画NGなのが尚更食べログ大好き女性を突き放すわけです。
私はこれが劇場型にしたいという金坂氏の意図的なものとは思いません。最終的には金坂氏の責任なのですが、設計者が悪い。いい加減早急に椅子を替えましょう。
おそらく、2022年時点での銀座『かねさか本店』の問題はこの辺りではないかと思う次第です。
ただ、素晴らしい鮨を安定したペースで握りながら、常に総ての席に気を配り時には会話もしながらの金坂氏、そしてスタッフの応対も素晴らしいので、終始安心して頂けます。
それもあって私は銀座『かねさか本店』には1人か身長175cm以上の同性の友人知人もしくは会食のみで利用しています。
という感じです。
この銀座『かねさか』は、静かに安心して美味しい握り鮨を食べたい富裕層や嗅覚が特に繊細な草食系グルメン達ばかりなので、私も安心して伺えます。
どんな美味しいお店でも隣で派手なスニーカーにトップスが派手×2ハイブランドのトレーナーの方々が騒いでたり、ずっとスマホ持って写真や動画撮影に興じる方々がいらっしゃったりしたら台無しですからね。ほんと毎回スマホ除菌ティッシュで拭かないとまずいですってあれ、、、(/ _ ; )。
そういう心配がないところも銀座『かねさか』の良い点です。
金坂氏の握りは墨と筆の手書きで正円を描こうとした場合に綺麗な円をぴったり最初に筆をを置いたスタート時点で終わって描けた「正円」なんですよね。
筆の圧も良寛の書のようにずーっと同じと思わせてくれます。
それもあってか、銀座『かねさか本店』の金坂氏の握り鮨のあとの数時間だけは、お茶/珈琲/赤ワインなどを一切口に入れたくなくなります。
ギリで常温水。
皆様ご存知の通り、私は大好きなんですけどね、頂いた握り鮨と同ランクの赤ワインでその日1日を締めるのは。
そんな私でも何もいらないと思わせる握り鮨。
美味しい卵焼きやアイスクリームですら食べずに残したくなりますからね。
もちろん美味しいガリも減りません。
これはある意味とてつもないことです。
もしフォロワーの皆様が墨と筆一本で半紙の上に円を描くとするじゃないですか?
時計回りに「えいっ!」と描くやつです。
普通は正円まで行かず、円にもならずに墨が切れてしまったり、スタート地点に戻らなかったり、楕円であったり、正円となってもスタート時点を追い越して終わったり、最後にはねたくなってはねたり、はらいたくなってはらったりという握り鮨がほとんどで、私はスタート地点を追い越して終えるようなそんな握り鮨を握る各一流鮨店の御主人達/握り手達の握り鮨を「個性」として捉えているため、あとは立地/内装/価格帯などで各シーン毎に使い分けてます。
どこの握り鮨も大抵一定水準以上美味しいですからねー。
海苔巻き系や赤貝や雲丹は普通の高級鮨レベルなことが大半ですが、中トロ/赤身/ 鰤(ブリ)/小肌/ 鰹(かつお)/カンヌキ(大きなさより)/真鯵あたりはやはりミシュラン鮨屋レベルです。
ただそうはいってもやはり、金坂氏の特に煮蛤は出色(しゅっしょく)の一品だと思います。
何度尋ねても、「ただ酒と醤油などで炊いてそのまま吸わせているだけです。」との返答ですが、ツメが塗られていないあの煮蛤の高貴な香り/juicyさ/味わいはスペシャリテでしょー。
ああいうのが大きなグループで統一して作る強みでもありますよね、ほら、蛤を使う絶対量が圧倒的に増えるので、1個あたりに煮含まれる出汁の旨味や濃度が濃くなるからです。
あれは江戸前鮨好きや貝が大好きなフランス人も大喜びでしょー。
椅子が変わらない現時点では、身長175cm以上の鮨好きな男性がお一人で、もしくは男性同士で伺うのがお勧めです。
元々酢飯(シャリ)は優しい味付けなので、カウンターと椅子のバランスが良くなれば、女性の皆様にもとてもお勧めです。
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※写真撮影は厳禁です。
※ランチ握りお任せで2-4カンお代わりして30,000円/人程。
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