なぜ御徒町『鴨toねぎ』がミシュラン獲得できないのか?/理由

はー、ラーメンレビュー嫌なんですけどねー。

私は正直ラーメンそんなに好きではありません。

ただ、時代の「今の味覚/嗜好」をより理解するためにも二郎系以外の化学調味料を使用していない/できるだけ使用しない美味しくて有名なラーメン屋は一度は行くようにしています。

ラーメン好きの皆様、高級フレンチや高級鮨が大好きな私もちゃんと毎年ミシュランラーメンを各店最低一度は頂くようにしてますよー。

正確には自分が好きなスープを出すラーメン屋の中の何店かが、その後しばらくして戦略的にミシュランスタッフ達におもねってミシュラン星獲得してくってことなんですけどね。

飲んで口の中に自然な旨味がいっぱい広がるような、食後も身体がより健康により軽やかになるような、そんな手間暇かかった美味しいスープが私は大好きだからです。

じゃー、ラーメンやラーメンレビューなんで嫌かというと、別にラーメンを見下したり下に見ているわけじゃなく、


1.才能あるラーメン職人の方々がミシュランにおもねっているのにそれを理解してないミシュラン側の鈍さが嫌

2.ラーメン好きの方々と私はどちらが上か下かということではなく、お互い味覚のパラレルワールドで日々生活しているので決してその感動/悦びは共有できないからです。

だって私、二郎系とか二郎インスパイア系とか意味わかんないですもの。

食べられないです。

食べたあと数時間後に頭痛が始まって、お肌が大荒れで寝込んでしまうんです。回復まで2-3日かかるんです。

そんな軟弱グルメンのレビュー、ラーメン好きの方々が熱く語ってるところに冷や水を浴びせるようで嫌でしょう?

ただですねー、ちょっとここのラーメン屋は訳あってレビューせざるをえないので致します。

〜〜ご自分の味覚に自信がある方とこちらのお店の関係者の方のみご一読ください!〜〜

さて、御徒町『鴨to葱』

Openしてまもなく丸5年。
私は昆布出汁のグルタミン酸のニュアンスを感じますが、お店曰く、「鴨」と「水」と「葱(ねぎ)」だけで作るラーメンになります。

スープの透明度含めた見た目もちゃんと美しいです。

この、食材を限定してその中で最大限の魅力を引き出そうとする潔さは自分で料理しないエセグルメの方々には判らないでしょうね。

私はOpen当初のソリッドな鴨出汁スープのほうが好きでしたが、日々改良されている今の鴨出汁のほうが旨味成分たっぷり濃厚で、このエリアではウケがいいと思います。

美味しいフレンチや美味しい鮨が大好きな私としてはドンピシャのスタンスで、Openしてから美味しい鴨出汁(合鴨ですが)を頂きたいときに定期的に伺っているお店の1つです。

ちなみにパリ5区にある真鴨料理専門の仏ミシュラン三つ星『トゥール・ダルジャン』に代表されるように、フランス人は鴨(真鴨)が大好きです。

日本で真鴨のスープを堪能する料理を堪能するとしたら、新潟や秋田県の落穂を食べて肥え太った滋賀県あたりの真鴨鍋を頂く/取寄せるのが1番です。

「まぐろ」という魚名がないように、「鴨」という鳥名もありません。まぐろor鴨とお店側がいうときは十中八九キハダ/ビンチョウマグロor合鴨ということです。あ、「トリュフ」もそうですね。トリュフという場合は十中八九が黒トリュフのこと。いずれも後者のクラス感は別次元です。

トリュフなら白トリュフ、、、11月のピエモンテ州アルバの白トリュフ祭り!

あー、コロナのせいで2年も行けてない(/ _ ; )

ラーメンは元々飲食業界内における地位がとても低かったんですが、ここに高級料理のスープの摂り方などの概念や手法を持ち込んだのが90年代のラーメンバブル。

すごかったですよねー、ラーメンドリーム。

仮にそこを第一世代とするなら、今はどうでしょう?

いくつかのブームを経て、第四世代?第五世代?

いずれにせよ、使用する材料を限定して、ゆっくり沸騰させずにコトコト大量に丸合鴨を煮たからこそのこの合鴨の出汁。

毎日×2真鴨のスープなんていくら養殖を使おうが原価的に不可能ですからね、このお店は合鴨の出汁で充分です。ちゃんと真鴨好きも満足するレベル。

イコン画の登場人物達の頭上にある天使の輪を想起させる黄金色の油分の輪郭を伴った琥珀色のスープを一口すすると、寒い冬にジビエならではの野趣ある旨味が舌の上へ一斉に広がり、お醤油で補完された鴨出汁の良い香りが鼻腔へと立ち上がってその味と香りが消えていきそうなその刹那!

低温調理で美しく加熱された合鴨をひと噛みしたときに溢れでる合鴨の真鴨とはまた色調の異なるロゼ色の旨味と併せてまた鴨出汁を一口すすると旨味と複雑味が増幅、ぎゃーっ!

麺は全粒粉系のストレート中細タイプで、固さ/香り/喉越しとちゃんとしていて、今度は合鴨肉×スープ×麺で口の中がオーマイガー!!

鴨肉の加熱具合だけでなく、創業以来変わらない厚みもパーフェクト。

フレンチには5-6万円/人平気で出すのに、ラーメン店ではお店の最低価格のシンプルラーメンしか頂かない前頭葉に重大な欠陥のある私ですが、こちらでは合鴨を堪能しにきているので、鴨肉もちゃんと加熱が上手で適切な厚みあって美味しいので、いつも鴨コンフィ+小親子丼のトッピングしてしまいます。

さて、合鴨出汁ラーメンとしてはほぼ完璧なこちらのラーメン。

こちらのお店に行かれたことのある聡明グルメンなフォロワー様はどう思われますか?

なぜこんなに完成度が高いのにミシュランを取れないのでしょうか?

それはですねー、


1.フランス人は鴨出汁には厳しいということ(あひると真鴨を掛け合わせた合鴨自体認めてないくらい)
2.黒トリュフ/白トリュフ/黒トリュフ油/白トリュフ油/ポルチーニ油/ポルチーニのいずれかがない

3.付け合わせの焼き九条ネギを同じ出汁で煮て提供

なんですねー。

これは近年の和食もそうなんですが、ラーメンの場合もミシュランスタッフ達におもねらないと、歩み寄って彼らの好きな食材を使ってあげないといけないんですよねー。

この2-3年で世界の美食の流れがまた一段と明らかに変わりましたから。

和食でも超歴史のある和食屋が昨年あたりからどんどん格下げされて、フォアグラなどを積極的に使う和食屋の評価が上がってきていますでしょう?

フランス人にとってラーメンは元々中国の食べ物という認識が強いので、日本ラーメンは中華そばから派生したジャンルとしてどうしてもフュージョン的枠組みで新しいことをしているお店が評価されがちです。

鴨が葱/ネギを背負ってという諺があるくらい相性の良い鴨とネギ。

ただ、こちらのお店はそこまで意識がいっても、このネギを鴨出汁で煮てしまっているので、そしてそのネギを提供しているので、焼きネギの存在感が消えてるんです。

もしこの焼き九条ネギを他の出汁の繊細な風味と引き換えに、鴨油で焼いたり、そのままぎりぎり焦げ目がつくくらいに網焼きしてそれを出汁につけずに食べる直前に載せて提供したら、グッと強い風味が上がるので、特に若い人が大好きな判り易い美味しいラーメンになるんですが、それはずっとしないんです。未食ですが、つけ麺にそんなニーズは流してあるのかもしれません。

そういう姿勢は個人的には好きなので、あえてレビューしてます。

まー、九条ネギ高いですし、ネギ成分「アリイン」から出る旨味成分が鴨出汁のグルタミン酸&イノシン酸の旨味を引き上げるのでしょうがないですけどね。

個人店でしたらとっくの昔に助言差し上げているのですが、こちらはプロが運営しているようなので何も申し上げず数年経過してます。

私がOpen当初から数ヶ月に一度通うほど美味しいのに、そしてこれだけ完成度が高いのに、ずっとミシュラン取れないのはそういう理由です。

経営者の方々、スタッフの皆様、御徒町『鴨to葱』は、私の中ではOpen当初からずっとミシュランレベルのラーメン屋の1つとして君臨してますよ!

ミシュラン星GETのためにこちらの商品をアップデートしたい際は是非×2連絡くださーい。

はー、こちらのお店に対してボヤけた低評価の方のお勧めフレンチやイタリアンなんて絶対行きたくない(笑)。

二郎系二郎インスパイア系などの化学調味料系ラーメンが苦手なグルメンな方に、特に寒い時期に行くのがお勧めです。

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※先にチケット買ってから並ぶスタイルです。
※最初にトッピングを2種(九条ネギ/玉ねぎなど)選びます。
※ワンタン麺も美味しいですが不定期なので、鴨コンフィ麺+小親子丼(1300円)がお勧めです。
※ここのラーメン好きな方は私と味覚合うと思うので他のお店もチェックする価値ありです。
※いつもとても混雑してるのでOpen当初や雨の日に行くのがお勧めです。